恒例の、2020年私のベスト歌舞伎を発表~。1月から順番に。最後にベスト1も発表します。
1月 連獅子 澤瀉屋の連獅子。スピード感がすごかったなあ。
2月 道明寺 にざ様。たたずまい、演技などすばらしかったが、それにもまして、2月のこの公演をできたということ。十三世仁左衛門の追善狂言ができたことが本当にすばらしかった。当初、3月にしようかという話もあったらしいが、2月にしたとのこと。3月にすれば、コロナ禍ですべて中止となっていたはず。2月にやった。できた。観られた。本当に奇跡のようにすばらしいピースが重なったことだと思う。
8月 棒しばり ああ。歌舞伎座が開いたという我々の喜び。踊れる。舞台に立てるという役者の喜び。爆発しそうな勘九郎のうれしそうな顔といったら。いつまでも観ていたかった。
9月 かさね 初歌舞伎の人を連れて行ったので、思い出深い。猿之助と幸四郎が力いっぱい。
10月 石切 松嶋屋型の梶原。大上段に構えて上から花びらハラハラハラというシーンが今でも脳裏に焼き付く。
10月 玉様の口上と楊貴妃。すごいよ。玉様。あなたがいることで観客も役者たちもスタッフも、どれだけ心強いことか。
10月 宗五郎 楽しいだけではないしみじみとした情感がいい。菊五郎。
11月 俊寛 吉右衛門。体調悪かったとは…!菊之助の東屋美し。半通しでうれし。国立劇場
11月 毛谷村 にざ様の六助が、あたたかくて優しくて、いざとなると厳しいお顔になって、どの顔も素敵だった。国立劇場
12月 三人吉三。半通し。うれしかった。伝吉内の場はなかったものの、因果応報の一端は見られて大満足。
12月 日本振袖始 あえての菊之助バージョンをセレクト。美しくも哀しい岩長姫。コロナの濃厚接触者となってしまった玉三郎の代役に菊之助。菊之助の代役に彦三郎。これが代演とは、驚きという完成度。彦三郎もよかった。
あ。11個になっちゃった。
そして、マイベストは、じゃーん!
2月の、道明寺です!
番外編で、歌舞伎以外も。
2月文楽 鳴響安宅新関 勧進帳の段 三味線の藤蔵沼にドッポン
10月 文楽素浄瑠璃の会 織太夫の寺子屋、咲太夫の勘平腹切。どちらも素晴らしくて、脳内を様々な役者、舞台が駆け回る。子どもが何度も何度も同じお話を読んでとねだる気持ちがわかった。大人の読み聞かせだ、これは。何度も何度も同じものを読んでほしいし、同じところで同じ場面で、想像力を膨らませて、自身でその世界を堪能したい。親に本を読んでもらっている子どもってすごいな。いつもこんな経験をしているのかと思った。いいな。
のんきに、1月の鰯売りを観ていたのが、遠い昔に思える。
来年はかけることなく、舞台が開きますように。