9月の歌舞伎座が無事、千穐楽を迎えました。スタッフ、役者の皆さん、観客の皆さんの努力のおかげで、無事千穐楽を迎えられて本当によかったです。
来月以降も、この嫌な緊張感が続くのはなんとも気が重いことですが、一日一日、いい意味の緊張感に変えて、前に進んでいきたいものです。
今後の各劇場の予定はまだわからないことも多いのですが、12月の南座は、短期間で3部ではありますが、開催決定。そして、来年のこんぴら歌舞伎は中止が決まったとのニュースが流れ、喜んだり悲しんだり、ラジバンダリ。あ!古いか!(;^_^A
さて、早くも10月。10月は、東京では、歌舞伎座と国立劇場で歌舞伎が上演されます。まずは歌舞伎座から。10月も4部制です。ざざっと確認しておきましょう。
第1部 京人形 11時~
これはみなさんわかりやすくて、おもしろくていいのではないでしょうか。
左甚五郎といえば、有名な実在の彫物師。日光の眠り猫が有名ですね。その左甚五郎が主人公ですが、荒唐無稽で歌舞伎らしいお話です。
小車太夫という美しい芸者にすっかりほれ込んでしまい、太夫にそっくりの木彫りの人形を作ってしまいます。うっとりと見惚れて酒を飲んでいると、何やらゴトゴトうごくではありませんか。木彫りの人形に魂が乗り移って動き出すんです。
ところが甚五郎の魂がうつったものだから、男らしい武骨な動き(笑)。でも甚五郎が鏡をたもとに入れると、太夫の魂が乗り移り女らしくなるという面白いものです。後半は立ち回りもあって、華やかですよ。
第2部 双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 角力場 13時半~
あれ?今月やったのに?と思うなかれ。今月のお話引窓の前段となるお話がこの角力場。なぜ角力場を先にやらないのだと思いますけれど、引窓の翌月に角力場という流れは、よくあることだそうです。9月に引窓はぴったりですよね。
角力場は、引窓を観た人も観ていない人も、楽しめるのではないでしょうか。
濡髪長五郎と放駒長吉というふたりの「ちょう」のお話だから双蝶々(ふたつちょうちょう) というタイトルがついています。
どっしりと落ち着いた風格のあるお相撲さん濡髪長五郎は松本白鸚。ちょろちょろと元気のいいアマチュア相撲取の放駒長吉が、中村勘九郎。これは楽しみですね。
この二人に加えて、山崎屋与五郎というボンボンの若旦那が出てきますが、これも勘九郎が演じます。長吉役と与五郎役がいつも一人の役者がやり、その早替わりもこのお芝居の見どころのひとつなんですねえ。
貫禄のある長五郎と、正義感があり鼻っ柱は強いけれど実力は?の長吉のやりとり。どう見ても相撲をとれば、一発で長五郎が勝つと思われるのですが、長五郎が負けてしまいます。それには大人の事情がありました。
舞台では、相撲場の勝負の様子は見えませんが、勝負を終えて、「長吉勝った!長吉勝った!長吉勝った!」と観客たちが、ワーワーと飛び出てくるところから始まります。
ワーワーとたくさんの観客が次から次へと出てくるこのシーンは、臨場感があって、私も好きなところですが、今回は、密?密ですよね。演出は変わるかもしれませんね。
その大人の事情に絡んでいるのが与五郎です。気前よくポンポン物をあげたり、すねたり、でもかわいくて憎めませんね。その与五郎、芸者吾妻、平岡郷左衛門といった人物が絡んで、物語は進んでいきますよ。
第3部 梶原平三誉石切 16時20分~
これは名作ですが、初心者がなんの予備知識もなく見ても「?」なのではないかと思います。
ただ、片岡仁左衛門が梶原平三景時を演じるので、私は何としても石にかじりついても、石を切ってでも観に行きますぞ~~~。
仁左衛門丈も、観客を前にした舞台は2月以来ということで(3月に無観客で収録)「待ちに待っていました。ウキウキしています」とのことです!もちのろん、私たちもです!
主人公は梶原平三景時。悪役になることが多い景時ですが、この芝居ばかりは善人です。善人というか、めちゃくちゃカッコいい人です。
すごく簡単に説明すると、源氏ゆかりの六郎太夫という老人が軍資金300両を必要としている娘婿のために、娘とともに平家方の侍のところに刀を売りに来ます。しかし鑑定書はないため、実際に試し切りをしようということになります。
人間二人を重ねて切ることになり、梶原が試し切りをすることになります。罪人が一人しかいなかったため、六郎太夫が自ら重なって切られることになったのですが、エイや!と梶原は、寸前でとめ、罪人だけ切って、六郎太夫は切りませんでした。すごくないですか?名刀と斬る人の技術があってこそですよね。
なんだ。二人は切れないじゃーん。と平家方の武士たちは立ち去っていきます。
あー。二人切れなかったから、お金はもらえないかー。もはやこれまで。とがっくりした六郎太夫。しかし!真相は… というお話です。
最後にバシっと手水鉢を切ってその刀の威力を見せる梶原。
ここの型は羽左衛門型と呼ばれる型と吉右衛門型とがあります。仁左衛門は羽左衛門型でやるかと思われますが、舞台奥から手水鉢を真っ二つに切って、その間から飛び出してきます。
動きの少ない演目ですが、セリフがない時の仁左衛門に注目しましょう!心の動きがわかりますよ。また、「滋味があって華があるようにできれば」と役作りについて仁左衛門丈は語っています。しっかり味わいたいですね。
あ。張りつめたお話ではありますが、斬られてしまう罪人剣菱呑助が酒尽くしの身の上話を語るところは、ほっとできるシーンです。しかし、剣菱呑助とはなんちゅう名前でしょう(笑)
第4部 口上 楊貴妃 19時30分~
さあ!玉三郎丈ショーの第2弾!どうなんでしょうか。口上は、9月の口上では歌舞伎座の裏を、玉様自ら案内をしてくれました。じゃあ次は?一体何をしてくれるのでしょう。
楽しみに待ちたいと思います。また玉様ツアーかしらん。何をしてくれるのかしらん。また玉様は楽しそうに私たちを案内してくれるのかしらん。全くわかりません。蓋を開けてのお楽しみですね。
後半の楊貴妃は、ただただ美しい絵を眺めるような踊りです。動きが少ない踊りって、ごまかしがきかないから、とても難しいと思うのですが、少ない動きでノーミス。完璧な玉様にまたもやクラクラめまいがしそうです。
第1部
11時~
第2部
13時半~
第3部
16時20分~
第4部
19時30分~
大体1演目1時間前後だと思います。
開場は開演40分前
休演は8日(木)、19日(月)
1等席 8000円
2等席 5000円
3等席 3000円
チケットは、歌舞伎座下木挽町広場チケット売り場で買うかまたは
にて購入。
どれか1演目を観て、あとは銀座でお買い物も楽し。
1部と2部、あるいは3部と4部の間にゆっくりお食事もまた楽し。
GOTOトラベルが東京も解除され、また、演劇やスポーツなどの観戦も、基準が緩和されつつありますが、歌舞伎座では10月も、席と席の間を空けるなど、コロナ対策は万全を期しています。人込みの中に遊びに行くよりは、かえって安心安全のように思える。それほど、厳重な体制になっています。
ぜひ歌舞伎座へ!GOTO歌舞伎座!