コロナコロナで自粛を余儀なくされる毎日の中、3月末に、ショッキングなニュースがふたつありました。
ひとつは30日の志村けんさんの死でした。私はどちらかというとクレージーキャッツの世代なので、それほど夢中になってドリフターズを見ていたわけではありませんが、テレビでよく見る顔が、あまりにも突然亡くなったことがショックでした。
翌31日に、辨松閉店のニュース。これがショックの追い打ちです。
木挽町辨松は、歌舞伎座の真ん前にあり、明治時代から続くお弁当やさん。木挽町広場でもお弁当は売っていますが、辨松の味はとてもおいしいのです。しっかりと手作りしていることがわかる。そして安い。昼の部の前、夜の部の前には店の前に列ができ、多くの人が買い求めていましたし、親子2代3代で贔屓にしていた人も多いと聞きます。
私も歌舞伎周辺ツアーでは、必ず辨松の紹介をしていました。
一番安いのは幕の内1番。630円。
私がいつも買っていたのは赤飯弁当1番(730円)です。
赤飯、卵焼き、かまぼこ、メカジキみそ焼き、うまに(筍、つと麩、ゴボウ、シイタケ)漬物みたいなのと佃煮みたいなの。
これが、どれもおいしいんです。普通の市販のお弁当より薄味というか、しっかり出汁がついている、家庭の味がする。卵焼きはぴちゃっと甘く、魚のみそ焼きも辛すぎない飽きない味。つと麩ってのが、またおいしいんですよ。
見た目はすごく地味(!)なんですが、味がよくて、よく買っていました。
辨松のショーウインドウを眺めて、ツアーの皆さんに「ほら、ビジュアル、地味でしょう。でもおいしいんですよ」とお話して、振り返るとそこには歌舞伎座。辨松のちょっと横に立って、カメラを構えるとちょうど歌舞伎座が真正面にドーンと見えるんです。目の前を走る車が邪魔にならないように注意しながら、写真を撮るのも常の事でした。
「そんなにおいしいなら、今日買って帰って食べてみよう!」と買って行くツアー参加者の方も多くいました。
2020年4月5日(だったかな)の東京新聞によれば、
時代の変化で仕出し弁当を食べる場面が減ってきて、なんとか持ちこたえてきたが、3月東京渋谷の東急東横店が閉店したことが響いた。後継者難やせつみの老化などもあり「余力があるうちに」と廃業を決意。
のれんを守ろうと事業譲渡の話がまとまりかけていた折、ウイルス禍が直撃してとん挫
とのこと。なんとも悔しい。まことに悲しい。
私も閉店前にもう一度買いに行きたいのですが、行けるかどうか。
20日まで無休で営業をしているとのこと。東銀座も閑古鳥が鳴いて寂しいことと思いますが、近くに行く用がある方は、ぜひ寄っていただきたいと思います。
なお、日本橋弁松は、似ていますが、別のお店です。