昨日は、文楽第3部「鶊山姫捨松(ひばりやまひめすてのまつ)」と「壇浦兜軍記 阿古屋琴責の段」を観てきました。
今月は、3部制なので、時間も短い。「せわしない」と感じる方もいるかもしれませんが、心身ともに楽で、お財布にも優しいので、初めての方にもおすすめです。
今回はどちらも素晴らしく、文楽の世界を堪能できました。「阿古屋」は、勘十郎さん操る阿古屋の指の先まで神経が行き届いており、演奏が終わるたびに誰にもわからぬように「ほっ」とする表情、しぐさ。3曲を弾く寛太郎さんとの息の合い方など。玉助さんの重忠は、じっと阿古屋の演奏に耳をすませている様子などが素晴らしかったです。清助さんの三味線。
最後、岩永が「なんでこれで許すのよ。納得できねえ」というところ、重忠が、また丁寧に「三味線では、ここポイントにきいてたのよ、琴は、これな」と丁寧に説明する部分が入っていてよかったです。
阿古屋についての説明は、昨日アップしたこちら。
そして、前後しましたが、「鶊山姫捨松(ひばりやまひめすてのまつ)」。これは、継子いじめの話なので、昨今の事件とイメージが重なり、そこはつらくなってしまいます。けれどもうれしかったのは簑助さんの名演。昨年の玉助さん襲名時よりずっとずっとお元気で、その演技が素晴らしく、感動的でした。40年以上前からのファンですから!また復活してくれたのかと思うと、単に演技だけではなくその心根、裏で重ねた日々の努力に感動しかないです。
中将姫の出から、
「梢の雪がひと積もり、背に打ち掛かればどうど伏し、起きれば」
というところでは、ゆらゆらふらふらと歩く様。ああ!背中に落ちた雪が冷たそうです!
「手足もしびれ身も縮み、命も息も絶え絶えにて」
この後もさんざん割竹でたたかれたりして、突っ伏して荒い息を吐く中将姫の姿に、こちらも涙で袂をしぼるばかりなりですよ…。簑助さん…。そして、義太夫の千歳太夫さんに、拍手…。
さて、始まる前に、知人である藤村さんのご紹介により、玉助さんにバックステージを案内していただき、興味津々で舞台裏を見てきました。
▲楽屋口からはいると、すぐにお稲荷さんがあります。出演者はみなここでお参りをしていきます。
▲着到板。ここに来て名札をひっくり返します。赤い木札の人は、ただいま不在。
上から、太夫、三味線、人形の順に並んでいます。
▲楽屋です。一番手前は勘十郎さんの楽屋。暖簾も刺しゅう入りで素敵です。
▲床山=人形の髪を結ったり、人形用の鬘を作ったりするお仕事をする方たちの部屋です。お人形の頭もぶら下がっている!
▲文字通りげた箱!人形遣いさんは、この下駄をはいて舞台に出ています。背の高い人は低い下駄。低い人は高い下駄を履いて、高さを揃えます。玉助さんはまだ襲名前の幸助の名前でした。背が高いから下駄は低いよ
▲お人形が乗る籠。小さくてかわいい。
▲小道具いろいろ
▲舞台裏。天井は高い。演目ごとの背景が並んでぶら下がってる
▲阿古屋の背景は、すでに舞台袖にスタンバイ!
▲舞台を案内してくれる玉助さん。逆光で真っ黒~。
▲くるりと板が回ると義太夫さんが出たり引っ込んだりするあれの裏側。円盤は手動で回します。
▲お‼お人形のみなさん。待機中ですね!ご苦労様です。楽しみにしています!
▲玉助さんのおせんべいいただきました!
イラストは奥様のらつこさんが描いてます。
5時35分に楽屋前に集合して、ささっと案内してくれて、6時開演。お忙しい出番前にありがとうございました。
歌舞伎役者さんと違って、文楽の技芸員さんたちは、割と直前までラフな雰囲気です。お顔は作らないということもありますけれど。
楽しかった2月の文楽。1部2部は、予定が入れられず行けませんが、5月の妹背山婦女庭訓は通しなので、ぜひ行きたいと思いますー。みなさんもぜひ!