今年も行ってきました。ICU国際基督教大学の日本伝統芸能の世界。本日は「義太夫節」。5月に「歌舞伎」があったのですが、残念ながら、スケジュールの都合がつかず。
太夫:竹本越孝さん 三味線:鶴澤寛也さん という豪華な顔ぶれなのに、授業を一般公開しているので、入場無料。予約も必要なしというありがたい企画です。
進行は矢内賢二先生。
とにかくこの大学は、広すぎず狭すぎず緑がたくさんで気持ちがいいので、行くのが楽しみです。若葉のころは格別ですね(ほかの季節に行ったことないけれど(;’∀’))。
学生も木々ものびのびしているように見えます。
授業は、ディッフェンドルファー記念館にて。これまたそれほど広くないが居心地のよいホールです。
本日の内容は、1部が越孝さん・寛也さん・矢内先生の3人でのトーク。義太夫の世界に入ったきっかけなどを伺いました。
女義太夫の世界は、世襲制でも資格制でもなんでもないそうです。越孝さんがこの世界にはいったきっかけは、なんと大学生のときのこと。先輩に義太夫について調べてほしいと言われ、「今みたいな魔法の箱がないから」電話帳で「竹本」の名の付く人を片っ端から調べて、アポを取り、訪ねて行ったそう。学生が「義太夫」について知りたくて聴きに行っただけだったのに、竹本越道さんが出てこられ、義太夫節を語ってくれたそう。
もう1回やるから聞いていなさい。というのを2回繰り返し。
3回目でお弟子さんたちがどどどっとやってきたので、失礼し、次の週に行くと、また義太夫を語られ。
ムムム?これはどういうことかな?
そのうちに本牧亭でやるから聴きに来なさい。
ムムム?これはどういうことかな?
いつの間にやら、この道に入っていたそうです笑。
おおざっぱな書き方ですみません。
寛也さんもやはり、学生時代。歌舞伎が大好きで、ある時「義太夫をけいこすると歌舞伎がもっと面白くなる」と書いてあった義太夫講座のチラシを見て、義太夫教室に行ってみたら面白くなっちゃったとのこと。
女義太夫というのは、もともと明治大正のころは「アイドル」だったそう。そういえば、朝ドラの「わろてんか」ででてきたリリコも最初は女義太夫でしたね。
今、アイドルの追っかけと言われる人たちがいますが、その元祖は女義太夫を追いかけまわしていた人たちのことだそうです。
そのころは、男が義太夫をうなり、女はさわりだけをちょっとずつ語っていたそうですが、次第に1曲まとまって語るように変化したそうです。
このほか、三味線と太夫ってどういう関係なの?という質問も出ました。三味線は太夫の語りの伴奏ではありません。三味線と太夫はお互いに、作者の意図を忠実に伝えるために語りを作っていく関係であり、三味線は野球で言うならキャッチャー。ピッチャー(太夫)が投げやすいように、心を砕く存在だそうです。
このあとお二人のぴったりと息の合った語りが披露されました。
文楽や歌舞伎ではなく、素で浄瑠璃だけ聞くと非常に心にしみるというか、その場面が実にリアルに浮かんできます。
まあ、読み聞かせの超リアル版ですからね。
休憩のあとは、学生も舞台に上がっての義太夫実践。
「お客様も、覚悟はいいですか?うかうかとご覧になっているわけにはまいりませんよ」との越孝さんの檄が飛び、私たち観客も声をだすことに…。
これが実におもしろいんですよね。今回は、仮名手本忠臣蔵裏門の段より。歌舞伎ですと、「三段目」の裏門の場面。塩谷判官が吉良上野介に刃傷に及んでしまったが、そのとき警護役だった早野勘平はなんとお軽とデートしていたため、屋敷内には入れなくなってしまうという大チョンボ。というところです。
そこの
「立ち騒ぐ 表御門裏御門、両方打ったる舘の騒動 ちょうちんひらめく大騒ぎ。早野勘平うろうろ眼走り帰って裏御門、砕けよ破れよとうち叩き大音声「塩谷判官の御内早野勘平、主人の安否心許なし。ここ開けてたべ早くはやく」と呼ばわったり。
この部分だけを、実際に語ってみます。
さて、義太夫は聞くのもいいのだけれど、聞くとやるとじゃ、本当に大違いです。
「大音声」だって、「だいおんじょう」って言うんじゃないんですよ。
「だあああああいおおおん」と階段をのぼるように言ってから、下からえぐって持ち上げるように「じょ~~~~~~~!」
息を飛ばすんです!
「ひいた息は全部返す!はいもう一度~~!」
「生まれてこの方こんな声を出したことがないくらいの声で!」
なんて言われて、楽しく大きな声を出してきました。久々に腹の底から声を出したわ。
後ろの男子学生も、大きな声を出していましたよ♪
こういう伝統芸能が、どんどん失われていくのは、本当に残念極まりない!
小学校や中学校の音楽の時間に邦楽、国語の時間に義太夫とかやってもいいんじゃないの?なんて思ってしまいます。
せめて、今日聞いていた学生さんからも未来の女義太夫さんが生まれたりしたら楽しいんだけれどなあ。
女義太夫は、結構な頻度で公演をやっています。
ぜひ一度みなさんも、まずは本物の女義太夫、聞きに行ってはいかがでしょうか。はまりますよ♪
↓こちらをみてね。