にざたまの熱演に燃えた2月3月。3月の千穐楽も間近になってきましたね。
さて、そろそろ4月の演目が気になります。
4月の見どころはなんでしょうか?そして初心者向けの演目とは?
4月の歌舞伎座にかかる演目を観てみましょう。
4月昼の部
◆西郷と勝
セリフは現代語に近く、わかりやすい。けれどセリフが多くて、追いかけるのが大変なのが真山青果です。
今やっている大河ドラマ「西郷どん」のファンなら大いにおすすめ。今放映中の話より先のところですから、興味深くみられるのではないでしょうか。
ただし、華やかな~きらびやかな~美しい~をお求めの方はパスで。
歌舞伎らしさを求めるなら予想外かもしれませんが、「これも歌舞伎なの??」という新鮮な驚きは得られるかもしれません。
◆裏表先代萩
伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)は古典の中でも有名なお話で、今回の裏表先代萩はその派生作品です。
伽羅先代萩は、上演される機会も多くて毎年かかります。昨年は5月に上演されています。(仁木弾正 海老蔵)
先代萩は、
大悪人仁木弾正と妹の八汐たちが、足利頼兼の後を継ぐ鶴千代を亡きものにしようと画策。鶴千代を守ろうとする乳人の政岡を描くのが「奥殿の場」ですが、今回の「裏表先代萩」というのは、その前の段階のお話です。
鶴千代を殺すための毒薬の調合を依頼されている町医者の大場道益が、礼金に目がくらんだ下男の小助に殺されてしまうところが描かれます。
大悪人の仁木弾正と、道益殺しの小助を演じるのが菊五郎。23年ぶりだそうです。
時代物の派生作品でちょっと世話物っぽいお話といったところでしょうか?
名優菊五郎の悪党ぶりが楽しみです。
夜の部
◆絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)
通し狂言です。通しというのは、ひとつのお話を最初から最後まで上演するということ。
「へ?当たり前じゃん?」と思うかもしれませんが、江戸時代の歌舞伎はとにかく朝から晩までずっとやっていて、「この続きはまた明日」なんてくらい長かったのです。それで、歌舞伎座では、一つの演目の中でも評判の良かった場のみ上演することが多いのです。それを「見取り」といいます。国立劇場では比較的「通し」でかかることが多いです。
どちらがよいとは言いかねます。見取りで観てばかりいて、あるとき通しで観ると「ああ、こういう話だったのか。そういう前段があったのか。なるほど腑に落ちた」ということもありますし、「通し」は長くて、すーっと夢の国に行くこともなくはなし。
と話はそれました。「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)」に話をもどしますね。これは、左枝大学之助という悪い奴と、彼に瓜二つの立場の大平次というこれまた悪い奴がバンバンバンバン人を殺すというお話です(;’∀’)
ですので、殺人は嫌いという方はパスということになります。
4月は、ふわ~っと美しい、さわやか~、夢のよう~みたいな演目はないですね(笑)
この中でひとつお勧めするとしたら、どれでしょうか。
それは「絵本合法衢」です。チラシを見てみてください。
「片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候」とあります。これはいったいどういう意味でしょうか。
これは、「私、もう年を取りました。この演目のようにずっと出ずっぱりでやるのは、もう無理!だから今回がこの演目をやるのは、もう最後」って意味なんです。
仁左衛門丈!
本当に素晴らしい。御年74歳とはとても思えないそのりりしさ、軽やかさ、美しさ。
鶴屋南北のワルの世界が大好きだと語るほにゃっとした優しそうなこのお顔をご覧くださいな。そして傍らのポスターの憎々しくも美しいワルの姿を!
↓
でも2015年のインタビューでは、こんなことを語っていますよ
「「悪役は気持ちいい。僕自身も世の中を生きるため人の善さそうな顔をしていますが、きっと悪人ですよ」とニヤリ。」
ですって。たまりませんなあ~。
今、この時代を生きている皆様。仁左衛門丈の演技を観られる。
これは大変な幸せでござんすよ。
というわけで、来月の一幕見は「絵本合法衢」で決定です!(´▽`*)
一幕見ツアーのご案内は近日公開予定。しばしお待ちくださいませ♪