「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)2018年3月歌舞伎座夜の部

2018年3月歌舞伎座夜の部で、「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」がかかります。

 

「お染と久松の心中事件?あの?悲劇はいやよ。」と思う人、ご安心ください!

今回の、たばこ屋・油屋 は、とても楽しくて、粋で、美しくておすすめです!

 

「お染久松?あの?博多座でもやった?お染の7替わり?( *´艸`)」

と思った方、残念ながら、お染の七役はありません。

 

こういうことがあるから歌舞伎は予習が無駄になったりして、困りますよね(^^♪

今回は、お染も久松も出てきません!早替わりもありません!

でもめっちゃ楽しめます!

 

早替わりもある「お染七役」までの解説はこちら!(2018年12月追記)

munakatayoko.hatenablog.com

 

★大阪で起こったお染・久松の心中事件がベース。「新版歌祭文」などで劇化されたが、「於染久松色読販」は、舞台を江戸に移し、四世鶴屋南北が1813年(文化10年)江戸森田座で初演。七役早替わり(7人の登場人物を次々と一人で早替わりしてみせる)、魅力たっぷりの悪人のゆすりなどが出てきてエンタメ性たっぷりですが、今回は、お染の七役早替わりの部分はありません。

でも、ストーリーはシンプルなので十分楽しめますよ!

 

今回の配役 お染も久松も出てきません!会話の中でのみ。

・土手のお六(玉三郎) 

悪婆(あくば)。悪婆とは、女方の役柄の一つ。ちょっとどすのきいたかっこいい中年の女性。昔の命の恩人である奥女中竹川から頼まれて、百両を工面したい。

 

・鬼門の喜兵衛(仁左衛門)お六の亭主

盗んだものを質入れしちゃってその百両を使いこんでしまったので、何とか工面したい。

こちらもめちゃくちゃかっこいい。

 

・山家屋清兵衛(錦之助

クールで正しい人。お染の許嫁。

                     

今回のあらすじ

とっても簡単に言うと、こんな話!

小梅たばこ屋の場

悪の魅力たっぷりの夫婦(お互いに別の理由で百両を工面しなければならない)のが、ひょんなことから丁稚の死骸を手に入れ(のちに蘇生)、ゆすりを思いつく。

瓦町油屋の場

ゆすり決行!ただし失敗して、すごすごと退散する

 

 

もう少し詳しく言うと、

★それまでのお話

 (下線を引いた登場人物は、七替わりをやる場合に、一人で演ずるお役。先月、博多座中村七之助が演じて、やんやの大喝采でしたね。しつこいようだが、今回はないからね。)

お染

久松:油屋に丁稚奉公(お家の再興を願う)

竹川:久松の姉、奥女中。お家の再興を願う。

清兵衛:お染の許嫁

善六:油屋番頭。お染に横恋慕。油屋乗っ取りをたくらむ。

お光:久松の許嫁。

小糸:芸者

貞昌:お染の母

土手のお六

多三郎:お染の兄。小糸と恋仲

 

キーワード 名刀義光と折紙(保証書)

 

 

・千葉家の家宝名刀義光と折紙(保証書)が紛失したため、久松の父は切腹、お家断絶となっている。

・久松とその姉竹川はお家の再興を願い、紛失した名刀義光と折紙(保証書)を探しているが、どうも油屋にあるらしいとの情報を得て、久松は油屋に丁稚奉公にはいった。お染といい仲に。

 

・油屋では、お染に横恋慕する善六が、乗っ取りをたくらんでいる。

・千葉家の家宝名刀義光と折紙(保証書)を盗んで油屋(質屋)に入れたのは、喜兵衛。

・善六は、蔵にある名刀義光と折紙(保証書)を持ち出してしまうよう多三郎(お染の兄)をそそのかす

・それを見ていた、丁稚の久太を体よく江戸から追い出す。

・手に入れた折紙(保証書)を隠したのが嫁菜売りの久作の籠の中

・喧嘩で、久作のおでこにけがをさせてしまう。

・清兵衛が納める、けがのお詫びに、袷と金一分を久作に与える

 

 

今月のお芝居は、ここからです!

たばこ屋

・土手のお六のところに、奥女中の竹川から手紙が届く。名刀義光がどうも油屋にあることがわかったが、それを請けだすために百両必要だから何とかしてほしいとのこと。

 

・そこへ夫の鬼門の喜兵衛登場。名刀義光を盗み出して油屋に入れたのは喜兵衛。請けだすために何とか百両を工面しないと。

 

・久作、登場。額にけが。袷を持ってくる。お六に仕立て直しと半纏の直しを頼む。預けられた桶に死体があったことと、久作の袷に油屋の符牒があったところで、お六、喜兵衛、お互いにピーンと悪知恵を思いつく。

 

・つまり、あんたたちに殴られてけがをした久作が死んだと。お前らが殴ったせいだといちゃもんをつけて百両取ってやろうという魂胆。久作はもちろん生きているし、大したけがではないのだが、死体に久作の半纏を着せて、久作だと偽ろうという作戦。ちなみに、死体は、さきほど、善六に追い出された丁稚久太で、フグを食べすぎて、目を回していただけ。

 

・死体を転がし、前髪を剃って、半纏を着せて、久作に仕立て上げ、準備万端整ったところで幕。

 

瓦町油屋の場

・油屋に乗り込むお六と喜兵衛。最初は丁寧な物腰。でもお店の人が久作を殴ったかどうか、確認すると、態度が豹変!

 

お六がゆすれば、喜兵衛がなだめ。ゆすりの連係プレーもバッチリ。

 

・店の人はびっくり仰天。おろおろして金を出して引き取ってもらおうとするが、「十や二十のはした金で料簡できるかい。百両出せ」と蹴散らかす。

 

 

・清兵衛登場。冷静に『死んではいないのでは?』とお灸をすえると、久太の死体と思われていた丁稚の久太郎が息を吹き返す。

・本物の久太も現れて万事休す!

 

・ゆすりは失敗し、からの籠を担いで二人は退散する。

 

見どころ

・悪婆「土手のお六」の美しい悪女っぷり。ゆすりっぷり。今回はお六が玉三郎、喜兵衛が仁左衛門というすばらしい配役。二人の息の合ったゆすりっぷり、格好良さ、そしてゆすりが失敗して、空籠を担いで帰るところなど、堪能してほしい。

 

玉三郎のお六と仁左衛門の喜兵衛は昭和52年(1977)年以来41年ぶりとなる舞台です!

このお二人のコンビは、本当に素晴らしいので、ぜひぜひ一度、見てくださいませ。

夜の部では、このあとの神田祭でもこのお二人の踊りがすばらしいです。

 

ぜひぜひぜひ!

 

というわけで、今月の一幕見ツアーは、本日と18日(日)

於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)を見ます。

本日はもう締め切っていますが、18日は、まだ受付中。

このほか、お店を紹介したり、歌舞伎座ギャラリーに行ったり、チケットの取り方を指南したり、楽しい時間を過ごしましょう。

 

初めての日曜の開催です!

↓こちらでーす。

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