2018年2月歌舞伎座。昼の部。
一幕見ツアーはこちらを対象にして開催しました。こちらに記録を今さら~。
「暫」とは?
歌舞伎十八番の一つ。元禄10年(1697年)初演。江戸末期に7代目団十郎が歌舞伎十八番をえらぶ際に、一つの狂言として整理した。
筋が簡単な割にはやたらと登場人物が多い。それは、もともと顔見世狂言に入れるものだったから。
「今年1年、この顔ぶれでやっていくよ」というお披露目のようなものを独立させたもの。
配役
悪人側
・清原武衡(左團次) 悪人。位は中納言なのに、権力を持って自分を関白に任命しようとしている。いさめる善人の首をはねようとする。
・鹿島入道震斎 鯰坊主
?照葉 悪人側かと思いきや、あとで善人側のスパイだったとわかるのだ!
善人側
・鎌倉権五郎(海老蔵) 超人。
・加茂次郎義綱 清原をいさめようとする。位としては清原と同等だが、「国守の印」をなくして立場が弱い(;’∀’)
・桂の前 加茂次郎義綱の妻。清原武衡が横恋慕
あらすじ
とっても簡単に言うと…。
成田家の十八番です。悪い奴らに「おい、まてよ!」という、ただそれだけのお話です。
もう少し…詳しく(;’∀’)
・鎌倉鶴ケ岡八幡宮。悪行を尽くす清原武衡。→権力を持ち、加茂次郎義綱に横恋慕(桂の前)
(1)A清原武衡の家来VS B加茂次郎義綱と三郎義郷の家来 もめている
(2018年2月昼の部ではここは省略。常にちょっとずつ違います)
原因
Bは大福帳を奉納したい。Aは「雷丸」を奉納したい。
(2)もめているところに清原武衡登場
一同、ははーっ!いばっているんですね。
清原武衡の家来が次々とゴキゲンとりのセリフをはく
・鹿島入道震斎 鯰坊主(なまずぼうず)という独特の扮装
・照葉 女鯰(おんななまず)
清原武衡は、桂の前を気に入っており、嫁に差し出せと無理難題。
加茂次郎義綱が断る。桂の前も断る
清原武衡、怒って、首をはねよ!と命じる
・手下の成田五郎出てくる。首を切られるのか…
(3)鎌倉権五郎登場(義綱の兄、義家の家来)
・そこへ登場する加茂家の中心鎌倉権五郎。
「し~ば~ら~く~」 登場!悪人たちは、いやーな予感。
花道で名前を名乗る「ツラネ」
(4)悪人たちがビビりつつちょっかいを出す
悪人たちがビビる。やっぱりそうなのか、あいつなのか…。
悪人たちは、順番に出てはちょっかいを出す。
鯰坊主
「なまずに去んでは(いんでは)この胸がすまぬ」
「恋美脚大和往来」の
「会わずに去んでは、この胸が」というセリフのパロディーだそうです。当時はだれでも知らない者はない流行りのセリフだったそうな。
権五郎の圧倒的な強さを楽しんで。
(5)本舞台へ。悪人どもを切り捨てて、去っていく
清原に詰め寄る。
・なぜ義綱らを殺そうとするのか
・関白の衣裳をまねているのは無礼ではないか
・雷丸は偽物だろう!
・国守の印がなくなったのは、お前たちが取ったのではないか。
女鯰照葉が国守の印を取り返す。
本物の雷丸(宝剣)も見つかった。加茂義綱に渡す。
悪者は悔しがり、善人たちは喜ぶ。
権五郎は、大刀を一太刀浴びせて、悪人どもをなで斬りに。
引き上げ。
★見所
・悪い奴はとことん悪く、ヒーローはでっかくて強い。わかりやすい。
(正座をしている人は善人)
・スーパーヒーローっぷり!衣裳がすごくて楽しい!
権五郎はスーパーヒーロー。体を大きく見せる工夫。
車鬢(くるまびん)・力紙、
隈取は筋隈
團十郎家の三枡(みます)の紋を染め抜いた「素襖(すおう)」
袴の中に高下駄・
60キロ近くあるそうな!
・鯰坊主→鬢の毛が鯰のひげみたい。隈取も鯰のひげ。衣裳にはタコの模様
・鎌倉権五郎は、実は少年18歳!純粋なのだ
・子どもの心で演ずべし「坊にくだせえ。手え手えします」
・前髪
・化粧声
・権五郎が花道から本舞台に来てもろ肌を脱ぐ間、「アーリャー、コーリャー」という声が聞かれる。権五郎の「見得」に合わせて最後に「でっけえ!」という声。敵なのに?これも荒事の様式で、ほめていますw
おおらかで楽しく美しい歌舞伎の魅力、堪能してみてください!
小さな子どもにもどんどん見せてあげてほしいな!と思います。