充実の10月歌舞伎。
すばらしかった。
★衣裳すばらし。衣裳:高橋佳代さん。
「下品なペラペラ」でもなく「ゴテゴテ」でもなく、とても重厚で、丁寧で、オペラグラスをなんども覗き込んでため息をついた。特に神々の衣裳がどれもデザインが少しずつちがって、どれも金ピカなのに「ペラペラ」でも「ゴテゴテ」でもなく、美しかった。
くわしくはこちらで。
衣裳はこんな感じ | 歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」極付印度伝 マハーバーラタ戦記
★音楽よし。棚川寛子さん
洋楽がはいっている歌舞伎も新作やコクーンでは見受けるが、マハーバーラタ戦記はなんというかインド風の音楽と邦楽とのバランスがよかった。どちらも邪魔をせず。しかも基本的に打楽器なのだが、心理的なザワザワ、不安、恐れなどをとてもよく表現していた。今でも七之助のテーマが頭のなかを巡るとザワザワしてくる。
SPACという劇団の俳優さんたちが楽譜なしで音楽を奏でているんですねー。すごい。
音楽的にはアウトサイダーな存在らしいが、こういう人を探してきて抜擢する力もすごいと思う。マハーバーラタの舞台をやっていたらしいけれども。
くわしくは、こちらで
音楽はどうなる? | 歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」極付印度伝 マハーバーラタ戦記
★ストーリーよし。
わかりやすくて、混乱せず、予習いらず。最初は名前がむずかしくてこれ無理かなあと思っていたけれど、問題なく楽しめた。小学生からでも十分。観て欲しかった。
★脚本よし。演出よし。
★場面展開が美しい。
★俳優陣よし。
菊五郎劇団の新作や古典復活にかける情熱と技量ってすごいんです。エンタメ精神に溢れている。正月の国立劇場を観たことがある人ならわかるはず。観たことないならぜひ来年は観て欲しい。
なにをか言わんや。そして松也ですよ。どこをどうつついても面白い。
印象に残るセリフ(誤差はあり)
鶴妖朶「どうして憎いやつが滅びる炎は、ここまで美しいものかねえ」
「赤々と照らされて、鶴妖朶様が笑っていた…?」訝しむ迦楼奈。
鶴妖朶「わらわはまちがっていたのかもしれない。生まれてはじめて思った。わらわはずっと一人であった。ようやく魂の近い人に出会えたと思った。夜の闇が深すぎて、瞬いた星を太陽と見間違えただけか」
そして、今の世の中を批判しているかのようなセリフの数々。批判しているというか、変わらんのね~。今も昔も、かな。神々の会話
「この世の終わりが始まる」「仔細を語れ」
「なんとか今まで平和を保ってきた。しかし、人間は平和に飽きて対戦を始める兆しはある」
「しからば滅ぶに任せるか」「滅ぶには惜しいものもある」
「力の支配は必ず恨みをうむ」
「ひとつの小さな嘘は、100の嘘へ変化するのじゃ」
そして、最後には、人間たちの争いのあと、どれまた一眠り と神々が眠りにつくところがまた。何とも言えず、ちっぽけな人間たちの感じがでていてよかった。
だめだー。一言で済ませるはずが、ドタドタと書き連ねてしまった。乱文メモ書きお許しを~。
★馬:がんばっていた。
ベン・ハー並みの迫力で走りまくる。
阿龍樹雷戦車:坂東やえ亮
迦楼奈戦車:尾上音蔵
書き足りない…。また観たい…。