こんにちは!ヽ(・∀・)ノ宗像陽子です。
魚屋宗五郎はとても面白いので、ぜひ多くの人に観ていただきたいです♪予習はいらないんじゃないかなー。
魚屋宗五郎を見ちゃいけない人もいる!?
ただ、この演目を決して観てはいけないひとがいるのでご注意です!
「魚屋宗五郎」を決して観てはいけない人。それは、
現在アル中で治療中の人・及びその家族、酔っ払いにひどい目にあってトラウマがある人 などです。
家族だったら「なんで、今まで禁酒していたのに、そこで飲ませちゃうわけ!?」ってマジで腹がたってしまうかもしれません。
アル中で禁酒中の人だったら、間違いなく飲みたくなります。
酒好きの人ならOK! ちなみに私はめっちゃ好きなので、もう観てて笑ってしまいます。
菊五郎が素晴らしすぎて、泣けます。
菊五郎以外にも勘九郎、芝翫などが演じていますが、やはり菊五郎がピカ一じゃないでしょうか。ぜひぜひたくさんの人に見ていただきたいです。
登場人物
◎魚屋宗五郎 菊五郎 酒乱のため現在禁酒中。ふだんはまじめで温厚な魚屋。殿様の屋敷に奉公に出た妹お蔦が不慮の死をとげる。(役者は、2017年5月団菊祭のときのものです)
◎宗五郎女房おはま 時蔵 宗五郎の妻。
◎おなぎ 梅枝 宗五郎の妹お蔦の死の真相を告げに来る。
◎酒屋丁稚 寺嶋眞秀 お酒を届けに来る。
岩上典蔵 市蔵 お蔦に横恋慕、さらに御家横領の悪巧みまで画策中。
磯部主計之助 松緑 お蔦を囲っていた殿様。
あらすじ
年に一度の祭囃子が聞こえてくる。隣近所は賑やかだが魚屋を営む宗五郎の家は暗く沈んでいる。
宗五郎の妹が、奉公先で、若者と不義を働き手討ちになったというニュースがきたためだ。
一家は悲嘆にくれるが、宗五郎は「理由があって手討ちになったのであれば仕方がない」と堪えている。→シラフだととても思慮分別のあるオトナな男なのだ。
宗五郎は、酒乱の癖があるため禁酒中。
そこに、妹お蔦の同僚おなぎがやってきて、お蔦が殿様に手討ちにあった真相について語る。
当初聞いていたのは「浦戸紋三郎と不義」ということだったのに、実はそうではなかった。
お蔦に横恋慕をしていた岩上典蔵が、お蔦を無理やり口説き、その窮地を浦戸紋三郎が救ったことで、岩上が両人を恨む。その上、岩上は御家横領を企んでいた密談をお蔦に聞かれてしまったこともあり、紋三郎とお蔦のスキャンダルを言い立てた。
そのため、お殿様磯部主計之助が怒って、お蔦を手討ちにしたというのだ。
さあ、その話を聞いた宗五郎、怒りに震えてどうしようもない。
おなぎが持たせた酒(この酒を届けに来る丁稚が眞秀くん⇒2017年)を飲まずにはいられない。
グングングビグビお酒を飲み続け、ついに酒樽は空っぽに!
お屋敷に行ってくるという宗五郎。とめる女房や若い衆。
えーい、うるせーと、酒樽をブンブン振り回して、ヨロヨロとお屋敷へ。
お屋敷に行って大暴れして、挙句の果てにグーグーと寝てしまう宗五郎。
最後の場面では、酔いが覚めて、またおとなしくなって面目なくショボちんとなっている。
お手打ちにされることも覚悟するが、殿様の方が詫びてくれ、しかも岩上典蔵を成敗することを約束してくれ、お見舞い金をもらって、ほっとする
というお話。
なぜ、「新皿屋舗月雨暈」という外題なの?
前半部分では、磯部家の内紛に巻き込まれて、お蔦は無実の罪でなぶり殺しにされ、幽霊となって現れるそうです…。なんか聞いたことがない?そうです。番町皿家舗の話を脚色しているそうです。それで「新皿家舗(しんさらやしき)」というわけ。
見所
その1 普段は温厚な常識人が、怒りで酒樽もって大暴れ!
菊五郎ならではの名演。この人でなければ!の当たり役です。
酔っ払っていく過程がうまーい。酔うに従って、鬘も変えているんですよ。
三味線のチャンカチャンカという調べに乗って、クイクイ飲んでいくところ、もう酒好きならたまりません。
酔うほどに性格が変わっていくところも見所です。
最初は思慮深く温厚で、なのに、お酒を飲んだらベランメエになって、酒樽を持って大暴れ。
うわ~~っと周りは止めたり、逃げたり、大騒ぎです。
酒癖の悪い人、あなたの周りにもいますよねえ。笑。
それは誰ですか? 親きょうだいですか?上司ですか?友達ですか?それともあなたですか?
迷惑ですけれど、憎めない。江戸の昔も今も変わらないなあと思うと笑っちゃいます。
大暴れするけれど、宗五郎は間違ったことは言っちゃいないんですよね。
殿様への感謝は忘れていない。しかし
「喜びありゃ、悲しみと、こっちの屋敷の殿のやろうが、何科のねえ妹をなぶり殺しに殺しやがった。俺ぁ、悔しくて悔しくて、堪えられねえ。それ故、断った酒を飲み、酒の力を借りて言うんじゃねえが、酔ったからやってきたのだ。殿のデコ助に逢わしてくれ」
「お前さん、そんなこと言っちゃいけないよ」ととりなすおはま。
普通なら言えないことをお酒の力を借りて言う。それでも言えないこと、世の中にはたくさんありますから、宗五郎のタンカに溜飲を下げる人、たくさんいたのでしょうね。今も昔も変わりません。ちょっとやりすぎると迷惑な人になっちゃうけれど、そこの塩梅も絶妙なのでしょう。
その2 まわりもいい人ばかり
岩上一派は悪いけれど、基本いい人ばかり。話を聞いてくれるご家老もいい人。殿様も、大暴れした宗五郎をぶった切ることもなく、謝ってくれるんですもの。大物…♪ 女房おはまも三吉も、宗五郎に振り回されてしまうけれど、みんないい人です…。下町の人情が熱いなあ。
その3 酒屋の丁稚はかわゆす。
2017年5月は、かわいい眞秀くん(寺島しのぶ長男)が酒屋の小僧として出ていました。とってーもかわいいです。
投げキッスなんてしませんが、きちんとお役を演じています。
2020年10月は菊五郎さんのもう一人のお孫さん丑之助くんが酒屋の丁稚です。
「こりゃ、おまえんちで一番いい酒かい?」と聞かれて
「そりゃ、灘の生一本だからよく利きますよ」と答えるかわいい丁稚の姿に拍手喝采です。
予習もせずに見ても気楽に楽しめる世話狂言ですー。
さらに2020年10月国立劇場の魚屋宗五郎を見て、見方が変わりました。ぜひ、こちらもご覧ください。
概況
1883年(明治16)年5月、東京市村座で初演。
作者 河竹黙阿弥
磯部家の殿様の愛人お蔦が内紛に巻き込まれて惨殺される。その兄宗五郎が酒の勢いで屋敷へ乱入。現在は、妹を殺されて悲しみと怒りのあまり酒を飲み、磯部屋敷に乗り込む「片門前宗五郎内の場」と「磯部邸玄関先の場」「庭先の場」が上演されることが多いです。
平成21年の国立劇場、平成25年2月の日生劇場河竹黙阿弥没後120年では前半も上演されました。
(2020年10月16日に追記をしています。)