国立劇場で仮名手本忠臣蔵を観てきました。仮名手本忠臣蔵は、10月から12月まで3ヶ月かけて通しで行われるということで、私も気合が入っております!
「仮名手本忠臣蔵」は、ご存知松の廊下で吉良上野介に切りつけた浅野内匠頭が切腹となり、家老大石内蔵助と47人の家来が仇討をするという実話をもとに書かれた物語です。
一日通しでもなかなか全てはできないということで、今回は、3ヶ月に分けてすべて上演するというチャレンジですが、国立劇場に拍手を送りたいです。
10月は、初段から四段まで。
仮名手本忠臣蔵が長く人気作品であることを再確認できるすばらしい内容だったと思います。
実は、私小学生のころ、昼夜通しで仮名手本忠臣蔵を観て以来の歌舞伎ファンなのですが、小学生にも楽しめることは、今回観て本当に納得しました。
開演前に口上人形が配役を紹介するので、今から観に行く方も必ず10時45分にはお席につかれることをおすすめします。開場10時15分
大序は、登場人物は首を垂れたお人形の体。浄瑠璃で人物が紹介されると息を吹き込まれて人になっていきます。
小さい頃みた「ぶーふーうー」はここから来ているのかなあ…。大好きな演出です。
善悪がはっきり分かってわかりやすいのが忠臣蔵の魅力の一つ。
いやらしい高師直(左團次)、薬師寺次郎左衛門(彦三郎)はこれでもかこれでもかの、いやなやつ。
何年か前と同じく、あれだけいやらしい左團次が四段目では石堂右馬之丞を演じ、すました顔で慈悲深い役人を演じるのもまた楽し。
さあこれからどうする!の大星由良之助(幸四郎)、けなげな力弥(隼人)らが生き生き。
そして、今回はふだん滅多に上演されない二段も上演されています。
主人思いであるばかりでなく、主人の性格をとことん知り尽くしている賢い加古川本蔵(團三)、その機転が塩冶家に禍をもたらす経緯がよくわかります。
最初は桃井若狭之助が高師直に挑発されていたはずなのに、いつの間にか塩冶判官がいびられるようになっていくその伏線なので、二段は結構大切ですよね。力弥の許嫁小浪は、加古川本蔵の娘でもありますし。
個々の俳優さん。個人的な感想でありますが、
桃井若狭之助安近(錦之助)
とても美しくて品がありよかったです。パンフレットによれば「恥辱を受けて頭に血が上っていますが、大名としての風格を持たなければいけません」とありますが、そのとおりの演技でした。
力弥(隼人)小浪(米吉)
「日ごろゆかしい力弥さま。会わばどう言おう。こう言おうかいな」と初々しい小浪の恥じらう様のかわいいこと。そして力弥と
「じっと見交わす顔と顔。互いの胸に恋人ともののえ言わず、赤面す」(違うかも)
そのかわいらしいこと。振り切る力弥のまた凛々しいこと。
「じっと見交わす顔と顔」というのは、一力茶屋でも出てきますね。2回使われるのでしょうか?はじめて知りました。間違っていればご指摘ください。
塩冶家家老 斧九太夫(錦吾)と原郷右衛門(友衛門)
桃井若狭之助の家老が機転をきかせて賄賂を送ることで、結果的に主を救ったことを知り「うちだって金銀を持って行っていればよかったのに、気のきかない!」と責める斧九太夫と「金銀でこびへつらうのは武士ではない」と口論する原郷右衛門。私がいけないのよと後悔する顔世…。泣けますね。
そして、切腹の場面。「由良之助はまだか」の声に力弥の
「未だ 参上…つかまつりませぬ!!」
今回は2回でした。
国立劇場の奥行の広さを生かした演出もまたよかった。
最後の城明け渡しの場では、最後に由良之助がなんども城を振り返りますが、次第に遠ざかっていく城が効果的でした。
10月は城明け渡しの場まで。次の場まで1ヶ月空くのでは消化不良になるかと思いましたが、全然そんなことはありませんでした。
通常ここまでだと、まだ芝居はまだ終わりませんから「まだまだこれからだ!」と気合が入って、この場面でアドレナリン全放出とならない(しない)のですが、今回はここで終わりなので、
「うおーーー!」と大放出!(私が…笑)
「山科にて再会。それまでは隠密に、隠密に。
無念の涙、ハラハラハラハラ 」
の大星由良之助に
「承知つかまつった。1ヶ月後、山科にてまたお会いしましょうぞぉ!」と心の中で叫ぶ私でありました。
全く書き散らしで申し訳ございません。これ以上日にちをあけると書けなくなるので、とりあえず書き散らかしました。
※彦三郎さんは、少し足を引きずっておられました。包帯が見えたような気がするのですが、お怪我でしょうか?無事に公演を終えられるよう祈念いたします。