「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

仮名手本忠臣蔵 道行旅路の花聟 美しい踊りとコミカルで華やかな伴内・花四天との立ち回り

2021年5月の歌舞伎座2部は、仮名手本忠臣蔵です!長いお話の中で「道行旅路の花聟」と六段目がかかります。この稿では「道行旅路の花聟」のお話をします。こちらは、塩冶判官が切腹した四段目の後の演目となります。

 

ここの段は40分ほどで、美しい踊りと後半の伴内とのやり取りが見せ場です。

「きれい!後半華やかで楽しい!」で終わってもいいのですが、なぜここにこの二人がいて、どういう状況なのかを知っておくと、もう少し楽しめますよ!

そこまでのお話。

 

「道行旅路の花聟」の主人公勘平とおかるが、物語に初めて出てくるのは三段目です。

 

早野勘平は塩冶判官の家来。おかるは、塩冶判官の妻である顔世御前に仕える腰元でした。二人は恋人同士でしたが、オフィスラブはご法度ですから、なかなか会うこともできません。

 

顔世御前から高師直にあてた手紙を渡すよう頼まれたおかるは、これ幸いと小躍りします。登城の口実ができて、恋人勘平と会えるからです。

 

果たしておかると勘平が、仲睦まじく逢瀬を楽しんでいたころ、場内では塩冶判官が松の廊下で高師直に切りつけ、大騒ぎとなっていました。

 

すわ!何かあったかと職場に戻ろうとした勘平でしたが、すでに緊急事態発生ということで裏門は閉められていました。

 

大変!ご主人様の一大事のときに、オフィスの外で恋人と逢瀬を楽しんでいて、なにもできなかったのですからこれはもう大失態です。

 

ご主人を追って切腹するしかないと思いつめた勘平でしたが、おかるはそれを止めます。

 

「まずは私の実家に逃げましょう」と。なんというか楽天的というかポジティブというか軽いというか、だからおかるなのです。

 

お詫びをするにしても、まずは生き延びてというおかるの進言に従い、二人はおかるの実家に身を寄せることにしたのです。

そして、判官切腹、お城明け渡しの四段目が終わり、この道行となります。

 

内容と見どころ

 

前半美しく、後半華やかで楽しい

前半は、美しい二人の踊りです。後半は、おかるに横恋慕をしている鷺坂伴内が手下を連れて追いかけてきます。花四天やこっけいな鷺坂伴内とのやり取りが楽しく華やかです。

微妙に違う二人の感情

愛し合ってはいるものの、二人の気持ちは微妙に違います。おかるは、大変なことになったといいつつも、ついに二人で旅に出ることができ、ずっといっしょにいられて、しかも頼りになる実家に行くことになったので、どこかウキウキうれしさがにじみ出てきてしまいます。

 

一方勘平は、そこまで浮かれてはいません。なんということをしてしまったという後悔、恥辱、情けなさ。そんなものがチラチラと表情に現れては消えるのをお見逃しなく。

 

道行の途中でも、勘平は

「主君の大事を余所にして、しょせん生きては居られぬ身の上、そなたは後に永らえて死後弔いをたのむぞや。おかる、さらばじゃ」

 

なんて、刀を構えたりするのですが、おかるは必死に止めます。

 

「私のせいであなたは不忠者になったのですから(おかるが誘ってイチャイチャしてたからね)、あなたが死ぬなら私も死ぬ。そうしたら、心中で死んだとみんなに言われて、誰もあなたをほめませんよ」

と屁理屈でもなんでもこねて、必死に止めるのです。

 

勘平は、ムムと言い返すことができません。とにかく私の実家まで行こうと言われて、従う勘平も、ちょっと弱いというか、なんというか(;^_^A

色彩美しく、華やかな立ち回りとこっけいな鷺坂伴内

そこへおかるに横恋慕をする鷺坂伴内が花四天を引き連れ、追いかけてきて、立ち回りとなります。

敵に向かえば、勘平は凛々しく、雄々しく、かっこよくバッタバッタと敵を倒していきます。

とても華やかで、鷺坂伴内の道化的なふるまいが楽しいです。

 

最後の花道はどうでしょうか。ウキウキおかると、ふっと辛そうな表情を見せる勘平をチェックできましたか?

2021年5月歌舞伎座での役者

2021年5月の歌舞伎座では、おかるが梅枝で勘平が錦之助ですから、とても美しい道行になると思います!

 

浮世絵から抜け出たような二人の道行がとても楽しみです。中村錦之助は、中村梅枝のおじにあたります。

また鷺坂伴内は萬太郎。梅枝の弟です。錦之助おじは、若い甥っ子二人を引っ張り、チームワークよくまとめてくれるのではないでしょうか。

萬太郎が伴内をどれだけそつなくこなせるか、こちらもちょっぴり心配でもあり楽しみです。いい意味で裏切ってほしいですね!

 

2021年5月の歌舞伎座2部の仮名手本忠臣蔵では、この「道行旅路の花聟」と六段目になります。五段目を飛ばして六段目になるので、そこらへんも予習しておくといいですよ。後で書きます。

哀れ勘平の運命やいかに。