さて、今月の国立劇場の歌舞伎をご紹介します。
歌舞伎座の4部制もいいけれど、ちょっと物足りない…と感じるアナタは、ぜひ国立劇場に行ってみてはいかがでしょうか。
国立劇場は、従来より上演時間は短いものの、2部制で、幕間もあり、割と演目もがっつり系。
「観た! 幕間でのんびり食べたり飲んだりできた! その後また観て、満足!」感が得られますよ。
11月のご紹介をざっくりしておきましょう!
- 一部 平家女護島(へいけにょごのしま)~俊寛 12時開演
- 二部 彦坂権現誓助劔(ひこさかごんげんちかいのすけだち)―毛谷村 4時半開演
- 国立劇場のコロナ対策はこちら!
- 上演スケジュール。チケット購入方法。アクセスは。
一部 平家女護島(へいけにょごのしま)~俊寛 12時開演
近松門左衛門の名作です。歴史の教科書にも載っていますね。鹿ケ谷の陰謀が露見して、鬼界ヶ島に流される俊寛の話は、ストーリーも舞台演出もとても完成されており、ドラマティックです。最後のシーンが、涙を誘います。
今回は、序幕の六波羅清盛館の場もついているので、よりわかりやすくおもしろいのではないでしょうか。詳しくはこちら
30分の幕間を挟んで、鬼界ヶ島の場は、こちら。
中村吉右衛門、尾上菊之助をはじめとして、播磨屋一門勢ぞろいで、ワクワクします。
海女千鳥 雀右衛門
有王丸 歌昇
菊王丸 種之助
二部 彦坂権現誓助劔(ひこさかごんげんちかいのすけだち)―毛谷村 4時半開演
剣の達人六助は、剣の師匠吉岡一味斎を殺した京極内匠を、一味斎の娘ら家族とともに討つお話です。というと、なんだか物騒で、ピリピリと張りつめたドラマかと思われるかと思いますが、そーでもない。
あくどい仇のために、悲惨に殺される人も出るのですが、六助がとても穏やかで優しい男であり、村人たちから慕われていること。最初六助を仇と勘違いして斬りかかるお園が、誤解が解け、しかも六助がいいなずけだとわかると、急にしおらしくなるところなど、なんとなく、ほんわりとした田舎の風景とともに、のどかなトーンで進むお話となっています。
予習しておいた方がよいと思います!
なお、今回、初お目見えの弥三松役の小川大晴くんは、次の「文売り」で踊る梅枝丈の長男です!パパも気が気じゃないでしょうね。。
初お目見えというのは、誰にとっても一生に一度のことですから、見ておくと観客にとっても、大きな記念になりますよ!
「あああのときの、坊やがこんなに立派になって…」とこの先、70年応援できるかと…(笑)
「毛谷村」については詳しくはこちら。
毛谷村六助 仁左衛門
一味斎娘お園 孝太郎
毛谷村六助 仁左衛門
一味斎娘お園 孝 太 郎
斧右衛門 彦 三 郎
一味斎孫弥三松 大 晴
微塵弾正実ハ京極内匠 彌 十 郎
一味斎後室お幸 東 蔵
そして踊り2種。
美しく、浮世絵から抜け出たような「文売り」
踊るのは、パパ梅枝です。ラブレターを売って歩きながら、世の男女の恋バナを話していくという踊りです。
色っぽいですね♪
詳しくはこちら
女方の美しさにはいろいろありますが、梅枝の美しさは、まさに「浮世絵そのもの」。堪能してくださいね。梅枝ご自身の魅力というのは、なんかもう少し、ドスが効いているというか、浮ついていない、芯がしっかりしているという感じですが、今月は長男の大晴くんの初お披露目もあって、内心ドッキドキでしょうね。
踊りを踊るときはきっと、そんなことあんなことすべて忘れて、思い切りいいパフォーマンスを見せてくれると思います!
軽やかで、しなやかで、楽しくて!若手の踊りに酔いしれる「三社祭」
悪玉 鷹 之 資
善玉 千 之 助
本当に楽しい踊りです。若手で踊りの名手でないと踊れませんよ、これは。
特に解説がなくても、一度見ればその魅力に釘付けになること間違いなし!
ですが、一応解説しますと。
二人の漁師、浜成と武成が、網打ちをして、軽快に踊っています。そこに黒雲が現れてガラガラドン!雷に打たれて、二人とも気を失ってしまいます。二人に善玉と悪玉がとりつきます。その後、善玉と悪玉の面をかぶった二人はユーモラスに、軽やかに、スピーディーに!見事に!踊り尽くしてくれます。
鷹之資クンと千之助クンは、一昨年の京都南座で三社祭を踊っています。ますます上達して息の合ったところを見せてくれるのではないでしょうか。
鷹之資クンのお父さんは、故中村富十郎。千之助クンのおじいさんは今回毛谷村で六助を演じる人間国宝の片岡仁左衛門、お父さんはお園を演じる孝太郎。
鷹之資クンと千之助クンは、学年は同じ。仁左衛門丈と富十郎丈は、二人が生まれたときに、「将来、三社祭でも踊るようになったら楽しみだね」と語り合ったといいます。それがかなったのが、2018年の京都。そして、今回です。
若手の中では、染五郎クンも「いつかやりたい演目」の中の一つに挙げています。(僕のあこがれの役、12選。4代目松本金太郎歌舞伎カレンダー)
團子クンとの三社祭も、ここ何年かの間には実現するのではないでしょうか。
なんで、三社祭っていうの?
三社祭といえば、浅草神社のお祭りですね。なぜ、漁師が二人で踊って終わる踊りの名称が、「三社祭」なのでしょうか。
漁師の浜成と武成は、推古天皇の昔、宮戸川(現在の隅田川の一部)から一寸八分の仏像を救い上げて、お堂に祀ったといわれています。これが浅草の観音信仰の始まりだそうです。確か、浅草神社の手前の参道に、その絵が飾られていたような。ここにその由緒についても書かれています。
もともとこれは「弥生の花浅草祭」という4つの踊りが入った演目の一つ。「三社祭」というのは、浅草神社の人気の例大祭で、開催に合わせて、漁師が仏像を拾ったエピソードを入れて興行されたということです。
魅力いっぱいの国立劇場11月の歌舞伎。値段が安いのがほんとに魅力。3階席は2000円で観られますよ!
国立劇場のコロナ対策はこちら!
こちらも参考にしてくださいね。
上演スケジュール。チケット購入方法。アクセスは。
11月国立劇場
1等席(1階) 7000円
2等席(2階) 4000円
3等席(3階) 2000円
3階でも見やすい。
【第一部】12時開演(午後2時20分終演予定)
【第二部】午後4時30分(午後7時終演予定)
各部、30分の幕間あり。
チケットの取り扱いは、以下にて。
または、電話(10時~6時) 0570-07-9900 03-3230-3000
または、国立劇場窓口(10時~6時)
国立劇場所在地、アクセスはこちら.
楽しみだなあ。私も来週行くのがとっても楽しみです♪