昨日は志の輔落語に行ってきた。
TBS赤坂ACTシアターでの志の輔落語は、今年で12回目だそうで、私は初めてだったが、とてもよかった。幕間をはさんで2時間半。
演目は4年目からはずっと同じだそうだ。第一部が大忠臣蔵~仮名手本忠臣蔵のすべて。第2部が落語 中村仲蔵だ。
中村仲蔵という、江戸時代の歌舞伎役者の話で、忠臣蔵の5段目が関係あるので、ついでに前半で、忠臣蔵を全部解説しちまえ!というコンセプトがいいよね。昔の人なら忠臣蔵なんて当然みんな知っているわけだから、わざわざ解説に1時間もかける必要もないだろうけれど、今は知らない人も多いだろうからね、大切な事だと思う。
といっても、もうその形になってから9年目で、なおかつみんなにおススメ!と言いたいけれど、今年でおしまいってんだから、私もずいぶん間抜けだし、書いても詮無いことだけれど、とてもよかったので書きとどめておく。
前半の忠臣蔵全段解説ってのは、たしかにすごかったなあ。オペラグラスを持って行かなかったけど、忠臣蔵の浮世絵をバックに出しての解説だったから、オペラグラスを持って行かなかったのは失敗だった。
解説の志の輔さんは、ちょっとガッテンっぽかったけど、話がうまいのはさすが。志の輔さん、とても忠臣蔵が好きなんですね。共感。私も5年ほど前の国立劇場の3カ月通しも観たし、昨年の1年かけての文楽通しも、観に行きました!
もうしばらくは、ああいうの(全段通し)はないだろうね。としみじみと志の輔さん。ああ寂しい。
特に、昨年の文楽は、春夏秋冬にあわせて春は序段から4段目まで。夏が5,6、7段目。11月が8、9,10,11段目だったので、季節にあっていてとてもよかったなあ、無理して行ってよかった。
さて、後半は「中村仲蔵」。実によかった。
今よりもっともっと、お家に生まれていなければ役者として上には上っていけなかった時代に、己の工夫と、上に立つ人の運にも恵まれて大看板にまでなった実在の人物の話。
歌舞伎ファンなら、機会があればぜひ聞いてみてください。
今の5段目の定九郎の衣装は、この人が変えたという、伝説のもとになったエピソードなので、5段目の見方も変わってきそう。
そして下げが、実にしみじみとしてよかった。それまで緊張して聞いていたのが、ほっとしてふっと涙がこぼれ、ジーン。
来年もまた!と思ったら、今年で終わりって残念。しかも、赤坂ACTシアター自体が完全リニューアルで、何年か後に、ハリーポッターを365日上演する劇場になります。ってことで、はい。残念。
でも志の輔さんは、またきっとどこかで何かをしてくれるでしょう。楽しみに待ちたい。
ところで、今日行く前に、とんでもないトラブルが発生しまして、一時は行くことを諦めたのですが、なんとか行けて本当によかった。
終わって、外に出たらまた現実にひきもどされて、ああ、辛……。