「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

寿式三番叟

舞台中央には大きな松が描かれています。能から来た作品は、このようにシンプルな舞台に松の絵のみ描かれており「松羽目物」と言われます。

この作品は、能楽の「翁」から派生したもの、国土安穏、五穀豊穣を祈るもの。

 

そもそも能と歌舞伎の違いとはなんでしょうか。能は余計なものをどんどんそぎ落としてシンプルにした芸で「完成された芸」と言われます。

一方、歌舞伎は、どんどんと進化したり膨れたり、吸収したりを繰り返すため「未完成の芸術」と言われています。

だから、能の「翁」とは違って、歌舞伎の三番叟は様々なバージョンがあり、それぞれ個性豊か。

たとえば、人形振りの操り三番叟などがあります。平成30年正月の浅草歌舞伎で、中村種之助が躍った操り三番叟は、素晴らしかった。今でも目に焼き付いています。

というか、あれがきっかけで、私は初めてブロマイドを買い、4月に衛星放送で上映されるということで、4月から衛星放送の契約をし、ますます歌舞伎沼にどっぷりつかるようになっているのです。

 

あの、宙に向かってピンと伸び切った足、一気に脱力してストンとしゃがみ込むような動作のあと、ふんわりと惰性で少し体が浮くところなど、まったく木彫りの人形としか思えませんでした。あの時の操り三番叟は、後見が梅丸まるるで、これまたよかったんですよねえ。。。

 

失礼。話がそれました。

寿式三番叟は、前半翁の舞、千歳の舞があり、その後舞うのが三番叟。

 

ツイッターでは、もっと三番叟って厳かなものなんじゃないの?なんて意見もチラホラありましたが、筋書を見ましたら、

「歌舞伎では若々しく、力強く、リズミカルに踊るのが三番叟の特徴です」とのこと。

 

今回の三番叟は、松也と幸四郎。息の合った力強くも美しい踊りです。大いに「力強く、若々しく、リズミカルに」踊っていましたね。

どんどんとリズミカルになって、力強くなって、最高潮に達します。

終わった後は、観客から「ほぉぉ」と何とも言えない、ジワというのかな、声にならない感動、そして拍手で歌舞伎座内は満たされていました。

 

松本幸四郎 (昭和48年生まれ)昨年幸四郎を襲名。1年かけて襲名興行を行って弁慶などの骨太の役にも挑戦して成功をおさめたが、本来は、色男の伊左衛門のような役がニンだと思う。様々な取り組みに挑戦している中堅。夜の部では「風雲児たち」の主役大黒屋光太夫で出ずっぱり。タフですねえ。

 

尾上松也(昭和60年生まれ) 

今の若手のちょいと兄さん世代。お父さんである尾上松助が早くに亡くなり、後ろ盾なく、苦労して今の地位までたどり着いた努力家。姿よく、どんな役でもパワー全開でこなしている。ちょっとむっちりしているので痩せた役は不向きかも(;’∀’)。妹は新派女優春本由香

 

今月、本業多忙につき、これが6月初めての投稿となりました。というと、今が暇になったのかというと、まったくそんなことはなく、実は本日千穐楽。もう一度昼の部を観に行きたいと思っていたが、ついにあきらめた。あきらめついでに、ブログを更新。くー。残念。