四国こんぴら歌舞伎 金丸座に行く その2 観劇までの巻
から続きます。
金丸座の魅力はいくつかあります。
日本に現存する最古の芝居小屋であること。
中村吉右衛門、澤村藤十郎、中村勘三郎の3人が1984年にテレビの収録で、使われていなかった金丸座を訪れてすっかり気に入り、1985年に公演が実現。以来35年にわたって、年に1度公演が続けられる人気の芝居小屋であること。
そんなことは知識としては知っていても、一度行ってみるとやはりまったく別の感慨がありました。
金丸座の魅力について5点ご紹介します。
その1 街を挙げての歓迎ムード
4月のみ行われる金丸座。お茶子さんはすべて街のボランティアの方だそう。町中が金丸座を盛り上げ、訪れた人を歓迎してくれる。その雰囲気がとても楽しいのです。
その2 金丸座は、とても素敵な芝居小屋
中に入ると、お茶子さんが丁寧に座席まで案内をしてくれます。中は、独特の味わいがあります。
今年からイス席になったので、座ってみるのも楽になったようです。私は今回が初めてなので、昨年までのつらさがよくわかりませんが。ネットでは賛否両論ありました。つまり客席が高くなった分役者の足元が見えづらいのです。とはいえ、楽に見られるのはありがたいことで、「これなら正座がしにくくなった親も連れて来られる」とご一緒した方は喜んでいました。
天井を見上げると場吊り提灯。その上にはブドウ棚。天井に竹を格子状で組んで縄で縛っています。これは2003年の改修時に復元されたそうですが、とても風情があるなあと思いました。
そして、明かり窓!障子の向こうは戸板のような板が開け閉めできるようになっていて、少しずつこの戸板を閉めることで、照明の役目を果たすのです。これがとても素敵でした!この開け閉めも、地元のボランティアの方たちがやっているそうです。
結構タイミングとか難しいと思うけれど。ずいぶん練習されたんでしょうか。
芝居が始まれば、役者は目の前!歌舞伎座とは違って狭いので、観客と舞台との間にキュッとした一体感があります。また、舞台も狭くて、義太夫さんと演者が近いので、それもよかった。太夫が唸る義太夫と役者の関係がよくわかるのです。文楽が好きな方はわかるかもしれませんが、義太夫と役者は密接な関係がありますよね。息を合わせて義太夫に乗り、演じ、そこにまた乗って義太夫を語るという絆がよくわかるのです。でっかい文楽を観ているような感じ!?いやそれは違うか…。
その3 こんぴらさんのお参りもできる
江戸時代にぎわったこんぴら参り!私は芝居しか考えていなかったので、階段をのぼってこんぴら参りするつもりはなかったのですが、やはり行ってみると上まで行きたくなって登りました。とても気持ちのよいお散歩道でした。確かに階段はきついけれどもつらくはない。御本宮、旭社、白峰神社と上に上がるにつれ、風情のある社殿が姿を現し、飽きることもありません。ああ、足腰丈夫であればまた来ることができるなあ、日々健康に気を付けて、また来られるようにがんばろう。と一歩一歩踏みしめながら思うことができました。
その4 歌舞伎役者に会える
なにしろ狭い地域に、客もいれば歌舞伎役者もいるわけで。かなりの確率で歌舞伎役者に会うことができます。
私とご一緒した方は、早起きをして散歩をしていたら勘九郎さんに出会ったそうです。早起きは三文の徳ですなあ。しかもあの階段を駆け上っていたらしいですよ。さすが韋駄天!
私は、大谷桂三さんと息子の龍生クンを見かけました。桂三さんは、お正月の浅草歌舞伎での「義賢最期」で百姓九郎助役が印象的でした。とても暖かく慈悲深く、舞台が暗くなりすぎないように明るさを保った九郎助でとてもよかったなあ。
桂三さんだ!と思っても挨拶もできず、行き過ぎて金丸座に向かったのですが、私の後ろから走ってきて、私にこつんとぶつかった子がいて、振り向きざまに「すみません!」と言って金丸座に向かって走っていったのですが、それが龍生クンでした。全然反応できなかった自分がニクイ!
※役者さんによっては、キャーキャー言われるのが嫌な方もいらっしゃいますから、サインや写真を頼むときには、丁寧にお願いして、断られたらあきらめましょう。
その5 うどんがうまい
翌日やっと食べられたうどんですが、気軽に食べられて安くて楽しいので、次回行くことがあれば、朝も夜もうどん食べたいなと思います。
このほか、甘酒、おいりソフトなども参道沿いにあり、楽しめる周辺でした。また、観光案内図を見ると、他にも階段を上らず遠回りができる遊歩道があったり、歴史民俗資料館があったりして、もう1泊してもいろいろと楽しめそうだなと思いました。
いよいよ観劇!
四国こんぴら歌舞伎 金丸座に行く その4 昼の部夜の部振り返り
またぜひ行きたい。こんぴら歌舞伎!です。