みなさんこんにちは。
4月の歌舞伎座も明けました。
さて、平成のあとの元号が「令和」と決まりましたね。
4月歌舞伎座では新作「平成代名残絵巻」がかかります。
源平になぞらえて、平成の世を終え来たる新たな時代への期待を込めた新作です。今日初日が明けましたが、セリフにも「令和」が入っていました。ちょっと初日でつっかかったか、令和がなんだったかよくわかりませんでしたが(;'∀')
40分ほどの短い演目ですが、結構お楽しみが詰め込まれていて、華やぐ演目でしたよ。
■あらすじ■
<1六波羅第広間の場> 平家ファミリーが幸せの絶頂♪の巻
平清盛の館です。清盛の娘徳子が高倉天皇と結婚することになり、ついに一族は権力の頂点を極めたのです。一族でお祝いをしています。
<2清水寺舞台の場>源氏の遮那王、密かに源氏ファミリーの復活を誓うの巻
舞台は、桜が満開の清水寺になりました。のちの源義経遮那王と、源氏の家臣が久々の再会を喜んでいます。
遮那王は、母の常盤御前に、平家をやっつけて源氏を再興するつもりはあるのか聞くために呼ばれたのです。
遮那王は、父の無念を晴らし、源氏を再興するつもりがあることを伝えます。
源氏を密かに応援していた藤原基房が、遮那王の父・義朝の形見である白旗を取り出し、遮那王に渡します。
そこへ白鳩が飛んできます。源氏は白旗が象徴ですから常盤御前が守護神八幡神の使い。縁起がいいと喜んでいると、どこからか小柄が投げられて白鳩にあたります。平宗清が投げた小柄があたったのです。常盤御前がハッシと小柄を投げ返すと、宗清は金剛杖で受け止めます。 このあたりは、楼門五三桐を感じさせます。
「ご報謝!」と宗清は言い、ふたりはにらみ合うのでした。
<3音羽滝名残の場>新しい時代に向かって、今は争うのをやめようの巻
大薩摩はいります♪
遮那王は、平家の手下に取り囲まれます。そこに知盛が現れ、二人は争います。とことん戦うかと思いきや、宗清が現れ、天皇よりの言葉を伝えます。
新たな時代に願いをこめて、今は争うのをやめよとの言葉に従って、二人は戦うことをやめ、去っていくのでした。
■見どころ■
1.華やかで美しい。
セリフもあらすじもわからなくても、その美しさを堪能してください。
常盤御前の福助さん、昨年の9月からどんどんとよくなってきているようでうれしいですね。
2.幕に注目。
歌舞伎では様々な幕が使われます。今回は第2幕の<清水寺舞台の場>になるとき、幕は閉めずに、あっという間にまったく違うシーンになります。どうやるのでしょうか?ご注目ください。
また、次の3音羽滝名残の場になるときの場面転換も注目です。浅葱幕という幕を使っています。
3.大薩摩に注目。
<3.音羽滝名残の場>に入る前に、おもむろに四角い箱を持った男性が舞台の端から出てきて、去っていきます。この後、二人の男性が出てきて三味線と長唄の演奏があります。立ったままの骨太の迫力のある演奏で、客席からは拍手喝さいとなります。山深い<音羽滝名残の場>へ誘うような、ずしんとくる演奏です。
4.立ち回りも鮮やか
遮那王は、平家の家臣に囲まれて、戦います。ここで出てくる家臣たちは華やかな衣裳を着て、立ち回りを見せます。歌舞伎では立ち回りもすべて美しく見せることが大切ですから、すべて型(パターン)が決まっていて、立ち回り専門のプロがその型を組み合わせて役者に教えます。やっつけられて尻もちをつき、パッと足を開く動作は「参りました。降参です」の印です。その後は、遮那王と知盛が戦います。これもすべて役者の体幹がしっかりとしていて、美しいですよ。
5.両花道でぶっかえり
歌舞伎の舞台では、通常下手のほうに花道がありますが、今回両方に花道がつけられます。
幕が下りたあと、遮那王と知盛がお互いの旗(源氏は白旗、平家は赤旗)を持ち、退場します。そのとき、一瞬のうちに衣裳がかわるぶっかえりもあります。ぶっかえりは、外側の衣裳を縫い合わせている糸をさっと引き抜くと、帯の上の衣裳が下にたれ、まったく違う衣裳にかわる仕掛けです。
遮那王は、児太郎。知盛は巳之助。
次世代を担う若手が、両花道でぶっかえりして引っ込み。なかなかうれしいです、これは。
児太郎ファン、巳之助ファン、見逃すまじ。
そして、一幕見のお値段は、600円ですよ♪
ただし、結構一幕見、混んでました。びっくりするほど。
10時30分売り出しで、40分に着いたら127番でした。なめてた(;^_^A
4月は、外国人の観光客が最も多いそうで、確かに今日もほとんど外国人の方でした。でも、楽しめたんじゃないかなー。
土日はもっと混むと思いますので早めに行くことをお勧めします。
なお、今月の1階お土産処開放は、13時15分から14時と17時から17時30分の2回です。
上演は11時から11時40分です。