今年で93回となる歌舞伎鑑賞教室。
高校生の時に観に行ったという人も多いのでは?
年々趣向を凝らし、見やすくなっているのでぜひおすすめしたいです。
例年、6月と7月に国立劇場で開催されます。高校生や中学生の団体が多いのですが、個人でも観劇できます。
▲こちらは無料配布のパンフレット。
▲こちらは台本(左)300円と上演資料集600円だったかな。
上演資料集の中の「連獅子印象記ー昭和5年4月歌舞伎座・龍土太郎」が臨場感があふれていてとてもおもしろかった。
今年は6月が「連獅子」・7月が「日本振袖始」です。
6月の連獅子・初日に行ってきました。前日の夜に予約を取ったのですが、花道横の席が取れ、解説つきでチケット代が1等席でも4000円。あぜくら会員だとさらに安い。学生なら1500円だ!いいですね。
構成は、前半が「歌舞伎のみかた」。解説が坂東巳之助クン。20分の休憩の後、後半が「連獅子」でした。
6月の解説が坂東巳之助クン。7月の解説は、坂東新悟クン。どちらも人気抜群の若手ということで、国立劇場さんもうまくつかんでますねえ!
確か昨年の7月は中村隼人クンで、しかも写真OKだったらしく、大騒ぎになっていたような記憶…。今年はどうなのかな?
「歌舞伎のみかた」では、単に歌舞伎の説明をするだけではなく、中学生にも舞台に上がってもらって所作舞台を体験してもらったり、すり足を実践したり、見得を切ったり、うまく小道具の説明をしたり、飽きない構成でした。
また、所作舞台をドンドンと踏み鳴らしたり、扇子を使って波や滝を表現することは、後の「連獅子」を見るうえでも参考になり、中学生もわかりやすく観劇できたのではないでしょうか。長唄が、文楽のときのように字幕でみられるのもありがたかったな。
私の横には、外国の方たちがグループで来ていましたが、みなさんお目々キラッキラでみていましたよ。
「連獅子」
連獅子は、中国の清涼山の山中に架かる石橋(天然の細く長い橋で、人間はとても渡れない)を訪れた僧が文殊菩薩の使いである獅子の舞を目撃するという能をもとに派生した作品です。
前ジテで、狂言師二人が出てきて、石橋の由緒を語り、その故事を演じて見せます。
その後、「宗論」という狂言が入ります。二人の僧が出てくるのですが、一人は浄土宗、一人は法華宗なので、どちらも譲らず口喧嘩になるというコミカルな狂言です。楽しいです。その後、白毛の親獅子、赤毛の子獅子の精が出てきて、豪快な毛振りが見られる親子の獅子の舞となります。(後ジテ)
今回親子獅子を演じるのは、実際の親子でもある中村又五郎さんと歌昇さん。
前シテで、子獅子が親獅子に蹴落とされ、花道で暫くじっとしているところがあります。
それまでの激しい動きも感じさせないよう、じっとしているむずかしい場面です。
歌昇さん、ほとんど苦しい息遣いもなく、鍛え抜かれていることが感じ取れました。
席は近かったけれど、さらにオペラグラスでじーーーーっと見てしまいましたが、斜め後ろからの歌昇さんのうつむいた表情が、静謐というにふさわしい美しさでした♪
その後の獅子の毛振りは、実は昔はあまり好きではなかったのです。しょうもない理由ですが、元頭痛もちとしては、「頭痛くなりそう…」としか思えなかったので。
最近、頭痛もなくなったせいか、楽しんで観ることができました笑。
荒々しく、豪快な「連獅子」。そうそう、国立劇場のロビーの平櫛田中作の大きな彫像がそれです。いや、これは鏡獅子ですけれど。
これから千穐楽に向かって、又五郎さんと歌昇さんには、ますますのびのびとブンブンしてほしいなと思います。
今月こちらを観て、「面白かったけれど、もっと他の見たいなあ」と思ったら、7月の「日本振袖始」もかなりおススメですよ。
外国人のための日にちもありますし、社会人が行けるよう遅い時間設定の日もあります。ぜひ。どうぞ(^^♪
上演資料集が面白かったと書きましたが、巻末の「歌舞伎鑑賞の手引き」も大変参考になりました。『これから歌舞伎を観ようとする若者のために
ー指導をなさる先生方にいくつかのお願いがありますー
という文で、歌舞伎離れの危機感と真摯な思いが結実しているような文章。これは服部幸雄氏が書いたものに加筆・修正したものだそうです。この文章を胸に刻んでこれからも一幕見ツアーを続けていきたいと思います。