コクーン歌舞伎の感想が書けぬまま、つれづれなるままに仁左衛門丈のことを書かんとぞ思ふ。
あれは3月でしたか。「神田祭」という演目がありましてなあ。
4階の幕見で観たのですけれど、あんまりお二人の踊りが美しくて素晴らしくて
私、ぽーっとなりまして。
トイレにお財布を忘れてしまいましたのよ。
なんでトイレに忘れますかなあ。どっかおかしくなっていたんでしょうなあ。
個室の正面にはいって、ぽんとお財布を置き、くるりと回って腰かけて用を足す。
そのまま出ていってしまったんですな。ぽーっとしてましたから。
そのぽーっとしたまま、地下鉄に乗りました。
普段は日比谷線で東銀座から乗って銀座で乗り換えて銀座線に乗るのですけれど、
「きれいだったなあ、粋だったなあ。すばらしかったなあ」
とポーっとしていたもので、銀座で降りずに、六本木まで行ってしまいましたよ。
で、家に帰ってもお財布がないことに気づかず、気づいたのは翌日でしたわ。
これは大変。出かける用事もあるのに、お財布ない!
よくよくよくよく考えてみると、歌舞伎座に忘れたかもしれない。
10時には家をでなくちゃいけないのに、歌舞伎座がなかなか電話が出なくて焦りましたが、やっと通じまして、問い合わせてみたらお財布が4階のトイレで見つかりましたと。
さすがだわ。歌舞伎座の4階に悪い奴いないわ。みんないい人だったわ。よかったわ。と思いましたね。みんなぽーっとしていたのかもしれませんね。
それでまあ、用事を済ませてやっと東銀座に着いたのが4時45分ですわ。
財布を受け取って、やれやれ。ホッとしたところで時計を見ると。
あら?あらら?「神田祭」売り出しの時間じゃね?
ふらふらとチケット売り場へ。「大人一枚」と言いましたよね。
立ち見だったんだけれど、20分程度だし、全然問題なし。
ふわー。見る予定なかったのに、見られた~。
またぽーっとなって帰宅。
今度はお財布は忘れなかったんですけれど。
これって、私の中では仁左衛門丈に「おいでおいで。また観においで」されて、
「仁左衛門丈に呼ばれて行ってきました案件」になっているのですけれど、違いますか?