「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)

アップしていなかった、わーん。こちら。

一幕見ツアーでみたのは、こちらです。今頃何をやっているんでしょうかねえ。とほほ

序幕と2幕目だけでもとてもおもしろかった。多くの人に見ていただきたかったなあ。

私の一幕見ツアーとしては、今まで一番多くの参加でしたので、それは大変うれしくありがたかったのですが、千穐楽でもまだ座れる席があったので

「日本にまだ50人はこの舞台観られるのに、いいのか?いいのか?観なくていいのか?」てな気分でした。

とっても簡単に言うと。

左枝大学之助が本家の乗っ取りを企み、非道の限りを尽くしていく話です。

悪い奴がバンバン人を殺していきます。(;’’)

けれども、後味が悪くない。何とも言えず暗い気分になるということがないのは、なぜでしょうか。そこかしこにおかしみがあるのは、なぜでしょうか。

太平次がクルクルと悪知恵を働かせて、何とかご褒美にありつこうとする様が、卑しく、ずるくて汚い。(でも仁左衛門はきれい。めちゃんこな)

あさましくて、あまりにも滑稽だからでしょうかね。

 

登場人物 

悪 左枝大学之助 (仁左衛門近江国多賀家・分家の当主。本家は兄が継いでおりその横領をたくらんでいる。多賀家の宝「霊亀の香炉」を盗み出す。鷹狩で、お亀を見初める。

 

悪 立場の太平治 (仁左衛門大学之助に顔がそっくりの悪党。大学之助のためにさまざまな仕事を引き受けている。

 

善 高橋瀬左衛門 (彌十郎)多賀本家の家老。多賀家の家宝がなくなったのは大学之助が絡んでいるのではないかと疑うが、大学之助は分家の弟君。もし大学之助が盗んだとあれば、簡単には済まされず、心を痛めている。もう一つの宝「菅家の一軸」を保管している。

 

善 高橋弥十郎 改め合法(彌十郎) 瀬左衛門の弟。兄を殺され、仇を狙う。

 

善 田代屋与兵衛(錦之助)道具商田代屋の養子だが、もともとは高橋3兄弟の末弟。田代屋の養女、お亀と許嫁の間柄。

善 お亀(孝太郎)田代屋の養女。

 

悪 番頭伝三(松之助)田代屋の番頭。お亀に横恋慕し、田代屋のっとりを狙う。

 

悪 うんざりお松 (時蔵) 太平治にぞっこん。17の年に勘当され、現在25歳だが、今までに持った亭主が16人。蛇の生皮をぴきーっと口ではがす色気と度胸としたたかさを併せ持ったような悪婆。太平次を振り向かせるためならなんでもやる。

 

善 太平次女房 お道(吉弥) 太平次の女房だが善人。機転を利かせて与兵衛を助ける。

 

あらすじ

【序幕】

第一場「多賀家水門口の場」

<多賀家の家宝を、大学之助(の手下)が盗み出すの巻>

・多賀家の家宝を大学之助(の手下)が盗み出す。

「まずは大望の一里塚」ニヤリ

 

第二場「多賀領鷹野の場」

<大学之助、お亀を見初めるの巻>

・瀬左衛門の領地に、道具商田代屋の与兵衛とお亀が通りがかる。

・大学之助が鷹狩を行っている。大学之助の鷹がいなくなったと騒ぎになっている。

・大学之助、お亀を見初め、言い寄る。お亀拒絶。

・高橋瀬左衛門がその場を助け、自分の陣屋に行くように促す。

・いなくなった大学之助の鷹を拾って殺してしまった百姓の子供を、大学之助が殺す。「お前の領地に(自分の鷹を殺してしまうような)不届きな奴がいた」といちゃもんをつけられるとニヤリ。

 

第三場「多賀家陣屋の場」

<大学之助、瀬左衛門を殺すの巻>

・与兵衛は、瀬左衛門の弟だった。瀬左衛門は道具商でもある与兵衛に「霊亀の香炉」の探索を依頼。

・多賀家の陣屋を訪れた大学之助の横暴なふるまいに、瀬左衛門はもう一つの宝「菅家の一軸」を取り出して、打擲。殊勝にも詫びる大学之助だが、実は菅家の一軸を狙っての、演技。油断をした瀬左衛門を刺し殺す。

 

・瀬左衛門の弟、弥十郎が登場→ここ見どころ。一人二役の早替わり。しかも演じている役者さんが、彌十郎さんとは、ややこしい笑。

 

・ドハハハハ。最後は大学之助の不敵な笑いと赤い舌で幕。

 

【二幕目】

第一場「四条河原の場」

<悪党4人の悪だくみの巻>

それぞれ思惑が違うものの、霊亀の香炉を田代屋から奪うことで利害の一致した悪党たち。4人とは、太平次・お松・関口・伝三

 

・関口。←序幕で「霊亀の香炉」を盗み出した人。現在、大学之助の次の指示待ちで、乞食に志願中。田代屋に霊亀の香炉を入れてしまったが、太平次に与兵衛が高橋家の関係(3兄弟末弟)であることを知らされ、取り返さなければと焦る。

 

・太平次。「霊亀の香炉」を取り戻して、大学之助からご褒美にあずかりたい。

 

・お松。太平次に惚れているお松は、「霊亀の香炉」を取り戻せば、太平次を振り向かせることができると意欲。

 

・伝三。田代屋の番頭。田代屋の養女お亀に横恋慕。お亀と結婚して田代屋乗っ取りを狙っている。田代屋与兵衛を殺すため、お松に毒薬を依頼しに来た。

 

うんざりお松の素性に注目。ゆすりが失敗する伏線となる。

 

第二場「今出川道具屋の場」

<お松、道具屋を強請って霊亀の香炉を取り戻そうとするも失敗するの巻>

・お松は、田代屋に乗り込んで、強請るが失敗。

→なぜ、嘘がばれたのか。ここ見どころ。強請るときに書付がバラバラと散らかるのを拾われる。それが生まれた年と地名を書いた書付だったため、嘘がばれる。

 

・田代屋の後家おりよは、与兵衛とお亀を、瀬左衛門の仇を討つために勘当をしてやり、家を出す。

 

・ゆすりを失敗して帰る太平次とお松。それでも一緒になってほしいとからむお松。最初はイチャイチャしているけれど、お松の「いっしょになってくれないと、おりよ殺しの一件を、言いつけちゃうから」という一言で、ギロリと表情がかわりますので、お見逃しなく!

 

第三場「妙覚寺裏手の場」

<太平次、お松を殺すの巻>

お松、あえない最期。

 

最期はだんまりで幕。だんまりとは、暗闇の中という設定のときに、スローモーションでやり取りをすること。

太平次のほか弥十郎夫婦、与兵衛、お亀が出てきて闇の中でうごめき合う。なぜ今この人たちがここにいるの?といった見方ではなく、その後の展開を想起させる様式美としてみてほしい。

 

★見どころ

・まずは!「片岡仁左衛門 一世一代にて相勤め申し候」ってこと!

見どころ第一は、仁左衛門

15代目片岡仁左衛門昭和19年生まれ。今年74歳!美貌と、確かな演技力、色気。すべてを堪能してください!

仁左衛門でのこの芝居は、もう絶対に2度と見ることのできないもの。しっかり目に焼き付けておいてください!

「悪人のほうが演じていておもしろい」by仁左衛門

・大学之助と太平次の殺し方の違い

大学之助は、お家乗っ取りというひとつの目的に向かってそれを妨げるものはすべて一刀両断。ズバっと切り落とす。太平次は最下層の貧民。殺し方も違います。そしていつも頭の回転が鋭く、あれがだめならこう、これがだめならあれとくるくる悪だくみを考えている。表情もくるくる変わるのでご注目。

 

・殺されるのは、人間だけではない

一体どれだけの命が奪われるのでしょうか。誰が生き残るのでしょうか。

 

というところで、2幕目はおしまいでした。ここまででも十分楽しめる展開でした。