刺青奇偶(いれずみちょうはん)
作:長谷川伸
ジャンル:新歌舞伎
★配役
手取りの半太郎(中車) 博打がもとで喧嘩沙汰を起こし江戸にいられなくなって下総に流れてきた。
荒木田の熊介(猿弥)半太郎に恨みをもっている。
酌婦 お仲 (七之助) 不幸な境遇から人間に絶望し、身投げをするが、半太郎に命を助けられ、後に半太郎と所帯をもつ。
鮫の政五郎(染五郎) 親分。
★あらすじ
・博徒打ちの半太郎と、人生に絶望をした酌婦お仲がひょんなことから知り合う。半太郎というまっとうな男に初めて出会い驚くお仲。
・ふたりは惹かれあい、ともに暮らすがお仲は病に冒されてしまう。お仲は、半太郎に博打をやめて欲しくて、刺青を彫る。
・お仲の治療費を工面するために、半太郎が賭場荒らし。「あのサイコロはインチキだ」といって大騒ぎ。若い衆にボコボコにされる。
・親分が事情を聞いてくれ、最後の大勝負をしてくれることに。
・勝負はいかに!
・そして結末はどうなるの?
★見所
・演技巧者の中車(香川照之)が、歌舞伎の世界でもがんばっている!
・玉三郎に直々に演技指導を受けた七之助、絶品!
「運命の人に出会うと人間はかわる」by七之助
・人生に絶望し、ささくれだっているお仲が、愛を知って変わっていくところ。
・刺青を彫る場面。
・半太郎の情愛の深さ「日本で一番好きな女房…」というセリフ
歌舞伎美人より。七之助の刺青奇偶の案内記事
ようこそ歌舞伎へ「中村七之助」1/4 | 歌舞伎美人(かぶきびと)
8月納涼歌舞伎。2日目に続き、2回目の「刺青奇偶」観劇です。
一幕見にて昨日行ってきました。
TABICA一幕見ツアーとして歌舞伎初めてのお客さんを案内しつつの観劇です。
ますますよかった2回目でしたヽ(・∀・)ノ
驚きの発見は、染五郎丈の進化。
前回は、親分の風格がなくってイマイチでしたが、しっかり修正されていました。
声を低く落としていつもの染五郎丈の声と違う。そしてお腹にいっぱい詰め物入れたかな。貫禄が出ていました。
七之助丈は、前回は、演技指導を受けた玉三郎そっくりで、それはそれですごい!と思ったのですが、今回はより玉さま色から七之助色に進化。何がどうとはうまく言えないが、消化したのでしょうか、恐るべし。
前回の玉さま色も私は「あそこまで真似できるのはすばらしい!」と思いました。
最初のセリフ「すーみーまーせーんー」が玉様そっくりでしたからね。
中車丈、相変わらず全力投球。ますます乗っていて凄みあり。
香川照之っぽすぎるでしょ!という意見もありましたが(笑)、私はやっぱりあの中車さんが好きです。
ここが気になる
・カットされている2幕目の最初に堤の場があるそうな。(ツイッター情報で、裏付け調べていません、不行き届き!すみません)
元気な頃のお仲が「どうせあんたの一番は博打でしょ」ってツーンとして言うんだけれど、半太郎がお仲の耳に口を寄せて「今はお前が一番だよ」ってささやくらしい!
これは欲しかった!ヽ(;▽;)ノ
・結局勝負しちゃうのだから、「なんだよ、ただのギャンブル好きの親父じゃねーの?」となりそうでならないのは、迫真の演技の賜物ですね。情愛こもった長谷川伸の脚本に泣けます。
・それにしても、お仲のこと「小鼻の肉が落ちました」って、どれだけ痩せたんだろうと思いつつ。
・1番の見どころ「日本で一番好きな女房 お仲」のところで、こちらのお腹がグーグーなったのには閉口しました、おなかはおなかでも食いしん坊のおなかです(^_^;)
最後の結末は、観客それぞれの胸の内。余韻を残して、帰路に着きました。
最後の結末、はっきりしてよ!と思う方もいるでしょうけれど、それぞれの胸のウチに描きましょう。
そうそう、帰る前に歌舞伎座ギャラリーに行きましたが、特別映像は、8月末まで「宙乗りができるまで」です。
猿之助さんファンはもちろん、そうでなくても、かなり見ごたえあります。
今日のゲストさんは、歌舞伎初体験。
歌舞伎のイメージといえば、「わけわからなくて、すごい顔して」だったそうですが、
「びっくりしました!わかるし、すごく面白い!」と言ってくださいました(╹◡╹)
何よりうれしいことです!
来月もまた楽しく歌舞伎ツアーやる予定です。
ではでは。